中高生向けの短期プログラミング学習“INSTANT TECH”は、学びをどう変えた?導入女子校の教員が感じた「+α」を聞いた。

INSTANT TECHはICHINOYA Inc.(東京都渋谷区 代表取締役福田大記、以下 ICHINOYA)が提供する、中高生向けの1Day自動運転体験プログラムです。

マサチューセッツ工科大学(MIT)協賛のサマースクール「GLOBAL TECH」で扱う、プログラミングによる自動運転技術の構築を、より多くの生徒に体験してもらおうと、短期プログラムとして立ち上げました。

「プログラミング」「自動運転」と聞くと、「生徒に知識がないと難しいのでは?」「うちの学校には、担当できる教員がいない」という声も上がり、導入にハードルを感じる学校も多いようです。

しかし、INSTANT TECHは前知識不要、さらに、プログラミングを超えた「学び」「体験」が得られる場として反響をいただいています。

今回は、実際にINSTANT TECHを導入した首都圏内2校の先生に話を聞きました。

(写真左から)
明石 里恵先生
吉祥女子中学・高等学校 進路・学習部長。英語科担当。明石先生は他校の教員からINSTANT TECHの紹介を受け、導入を決定。

蕪木 慎也先生
洗足学園中学高等学校 教頭。数学科担当。同校はINSTANT TECHを日本で初めて導入し、蕪木先生は担当教員として導入を検討した。

── 女子校の「理系分野」には、どんな課題がありますか?

蕪木先生
高1の段階で文理選択の希望を聞くと、大体半々。でも、講演会や面談をしていく中で、理系が減ってしまうんです。結局、高2では1学年250人のうち、文系と理系の間に50人くらいの差が生まれます。これを、2、3年後には逆転させたいなと。

明石先生
吉祥女子では、高2から文系、理系、芸術系に分かれます。文系と理系はほぼ均等です。ここ数年の傾向を見ていると、中学入学の段階で医師、薬剤師、獣医師などになりたいと夢や目標を持って入学してくる生徒が増えていますね。進路選択では、自己決定のプロセスを大切にしながら、苦手な科目があるからという理由で系の選択を狭めてしまわないように、教員はサポートしています。

理科の授業で「実験が楽しかった!」というような「体験」も、理系選択に繋がっています。一方、STEAMの分野では教えられる教員も限られているので、そうした機会を作ることが難しくて…。

蕪木先生
当校では数年前から理系に力を入れており、STEAM教育の海外事情を調査してきました。世界と比べると、日本ではまだまだ馴染みがないですし、すごく遅れています。

色々調べていると、STEAMの中でも特に「E:エンジニアリング」は中高の教育に取り入れにくいことがわかりました。そこを教養講座で扱おうと、当初は大学の先生に教鞭をとってもらっていました。予備知識がないと難しい内容ながら、生徒はついて行こうと努力している様子でした。

もっと気軽に、面白くできるものがあると良いなと思っていたところ、GLOBAL TECHを知りました。「これよりも、簡単に取り組めるプログラムがあれば…」と相談したところ、短期プログラムであるINSTANT TECHを作ってくれたんです。

課外活動になるので、時間も費用も抑えられて、かつ、教員の時間が奪われないという3点を叶えてくれる。そして何より、単にプログラミングを「学ぶ」のではなく、「体験」できる。スピード感を持って変化するIT分野の最前線に触れられるという点が魅力的でした。

── 実際にINSTANT TECHを導入してみて、どんな変化が生まれましたか?

明石先生
当校は、夏の教養講座で中1〜高3までを対象に導入しました。プログラミングの知識をインプットして、実際にものを動かして仕組みを理解できる体験って、学校だけでは作れないですよね。

募集に対し、倍率約3倍で抽選になるほどの反響でした。「パソコンに初めて触る」という中学生から、独学でプログラミングを学んでいた高校生まで、さまざまな生徒が集まりましたが、知識の有無に関わらず「とにかく楽しかった」という声がとても多く、保護者から「次の募集はいつですか?」という問い合わせもあったほどです。

蕪木先生
うちも思った以上の反響でしたね。募集枠20人に対し、瞬く間に定員に達してしまいました。その大多数が、知識の有無ではなく「興味」で突き動かされたようです。

当校では、中3と高2の2回、研究論文を執筆するのですが、ある高2生がINSTANT TECH参加後に選択したテーマが「顔認証システムの仕組み、それがどう派生していくか」というものでした。

明石先生
「これはどの学部に行けば学べるんですか?」と聞いてきた生徒もいて、進路選択にも影響したことがわかります。
また、「チームでどうコミュニケーションをしながら成功させるか」「言われた通りにやっても、上手くいくわけではない」という、社会に出た時に必要な視点を得られる場でもあります。論理的思考力に「+α 」で多くのことを学べるプログラムです。

── 今後、INSTANT TECHを活用しながら、生徒たちにどのような学びの場を提供していきたいですか?

蕪木先生
三者面談をしていると、二言目には「手に職」というワードが出てきます。IT業界こそ、これからの社会における「手に職」だと思うんです。成長著しく、また、「働きやすさ」を叶えやすい企業も多い業界ですよね。

その点を進路指導でもアピールしながら、INSTANT TECHでプログラミングや技術の面白さを体験してもらい、女性がグローバルでどう活躍できるのか、生徒と保護者が考える場を作って行けたらと思います。

明石先生
当校では、5つの大学と「高大連携」の協定を結んでいます。「こんな研究をしたい」という思いから、実際に協定校の高大連携プログラムを活用して個人研究をしている生徒もいます。

そうした「こんなことやってみたい」を形にできる場所を増やしたいと思っていて、その一つがINSTANT TECHではないかと思います。

「上手く行かなかったら、次はどうしよう?」。社会で直面するさまざまな壁を乗り越える力も、INSTANT TECHに参加することで養えるのではないでしょうか。

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将来を自分で切り拓き、形にする力を養うため、今後ますます重要視されるSTEAM教育。その中でも、プログラミングは2020年から小学校で必修化され、習い事としても注目されている分野です。

生徒たちがプログラミングを学び、体験することによる気づきは、想像以上に大きいようです。

ICHINOYAでは、多くの学校がプログラミング教育を導入する支援をおこなっています。

同プログラムに関する資料はこちらから