【MITへ短期留学】開成高校の3人に聞いたGLOBAL TECH世界大会について

2024年8月31日、GLOBAL TECH2024年度が終了しました。

今年度は、開成高校の生徒3名がMITで開催される世界大会に参加しました。

左から開成高等学校1年生:東君・中嶋君・中野君

── GLOBAL TECHとは?

GLOBAL TECHは、最新テクノロジー(自動運転等)の開発体験ができる3部構成のプログラムです。

  1. スクール:シミュレーション及び実機で小型車を自動運転させる

  2. 国内大会:日本国内で実機を用いた小型自動運転車レースに参加する

  3. 世界大会:国内大会優勝者が、MITの実機の小型自動運転車レースに参加する

世界最高峰のマサチューセッツ工科大学(MIT)で実際に使われているカリキュラムを使用して、小型自動運転車を作成・走行させます。学習成果は受講生の進路選択にも活用されています。

1.スクール

約3カ月間毎週講義を受け、基礎知識を学習しつつ、シミュレーションと実機の開発を行います。

■シミュレーション

PCの中で、小型自動運転車を自動走行させます。

■実機(マシン)

教材を見ながらパーツの組み立てから行います。その後シミュレーションで開発したプログラムをマシンで動かします。

2.国内大会

チームで作成したマシンを利用し、レースを行います。

3.世界大会

国内大会の優勝チームがMITで開催される世界大会に参加します。

世界大会では、アメリカの生徒はもちろん、カナダ・ギリシャ・イタリア・プエルトリコ等からも参加者がいます。

── 参加者へのインタビュー

GLOBAL TECH2024年度で国内大会で優勝し、世界大会に参加した開成高等学校の3名(東君・中嶋君・中野君)に同プログラムについていろいろ聞いてみました。

──スクール期間中どのようなことを行いましたか?

中野君:シミュレーションまでは教材に従って各々開発をしていました。ただ、実際のマシンを利用するところから難易度が上がったので、各々の得意分野を考慮し、役割分担をしてチームでプログラムの作成を行いました。

  • ハードウェアを使い慣れている東君>>マシンを利用した調整が多いラインフォロー・コーンスラロームの調整
  • チーム内で物理・数学が比較的得意な中野君>>計算力を必要とするウォールフォローのプログラム作成
  • プログラミングに慣れている中嶋君>>プログラム全般の修正

中嶋君:マシンの開発期間中は、放課後校内でマシンを走行させられる広く障害物のない場所を探して下校時刻ギリギリまで開発をしていました。

── マシンの開発で大変だったことはありますか?

東君:実際にやってみることが大変でした。「コースを作ってマシンを走らせる」と言われると単純なことに感じるのですが、指示書通りにコースを作ってマシンを走らせてみると予想外の難しさに直面しました。例えば、標識(ARマーカー)がマシンの目の前にあるからと言って必ず読み込んでくれないことや、速度を上げて急ハンドルを切るとマシンが倒れることとか。

中嶋君:マシンが倒れた後にプログラムにエラーが出ると、「プログラムが間違っているのか」「配線が抜けてしまったのか」「ハードウェアがどこか壊れたのか」等、思いつく要素が多すぎて課題を特定するのが大変でした。

中野君:私はプログラムを書く際に、必ずエラーが出てくることに苦労しました。GLOBAL TECHのプログラム終盤になればなるほどエラーは少なくなっていきましたが、ゼロにはならなかったです。

── GLOBAL TECHの国内大会までで印象に残っていることは?

東君:シミュレーションだと容易に思った通りの動きを小型車にさせることができたのですが、実際のマシンだと予想外のエラーがよく発生しました。例えば、シミュレーションで上手く動いていた「ラインの上を走るプログラム」をマシンに入れるとうまく動かないみたいな。「シミュレーションではうまくいっていたのに何で。。。」と思い調べてみると、カメラの視界からラインが外れた際のプログラムが記載されていませんでした。シミュレーションだとマシンが思った通りに動かせていたためカメラがラインを見失うことは無かったのですが、実際の機体だと一瞬ラインが見えなくなることがあり、その時にエラーとなっていました。これは、実際の機体があったからこそ経験できたことだと思います。

中嶋君:大会2週間前から、授業中でも焦燥感にかられたことです。「期日までにプログラミングでモノを作る」という意味では、文化祭で「迷路作成プログラム」や「ラジコン船の作成」等をやっていました。ただ、文化祭の場合は「未完成でも、ここまで頑張りました」と言えば何とかなるのですが、GLOBAL TECHは1位のチームしかMITに行けないというところに熱が入りました。大会1週間前からは特に頑張りすぎて、大会前日発熱してしまいました。最終週に詰め込みすぎず、毎週の講義でちょくちょくやっておけばよかったです。

中野君:ウォールフォローのプログラムを四六時中考えていたことですかね。実際のマシンの開発中は、通学時間にアルゴリズムを考え、授業中にシミュレーション内でプログラムを作成し、放課後実機で動かすというサイクルで毎日を過ごしていました(笑)マシンは本当に動かしてみるまで分からなかったですね。。。途中で考えすぎて、どのプログラムがどのようにマシンに影響しているのか全く分からないプログラムになってしまったこともあり、シンプルかつ有効なプログラムを作るのが重要だということが分かりました。

── GLOBAL TECHの世界大会ではどのようなことを行いましたか?

中嶋君:基本的に国内大会と同じでコースの障害物をよける内容。ただ、マシンに搭載されるCPUとコースの障害物が増えました。1週間という短期間で、調整を行わないといけなかったため最初から役割分担して開発を行いました。

── GLOBAL TECHの世界大会で印象に残っていることは?

東君:世界大会は準備に5日間・本番レース1日の短期間なので、開発が間にあうのかが不安でした。ただ世界大会のコースと同じコースがシミュレーションで準備されていたので、同じ宿に帰ってからみんなで開発することができ、なんとか間に合わせることができました。あとラインフォローについて、国内大会ではラインの色が1色だったんですが、世界大会では5色もあって自動運転っぽさをより感じることができました(笑)

中嶋君:機械学習をハードウェアでやれたことが印象的でした。「止まれ(STOP)」の標識をマシンに記憶させ、目の前に標識が見えたときに、マシンを止めることができたときは本当に嬉しかったです。また、チームでずっと一緒に入れるので、国内大会よりのスピード感を持ってプログラム作成をできました。あとは、世界大会でお昼に開催されるセミナーもとてもよかったです。セミナーでは、海外企業がまさに今やっている取り組みや公募されていないインターンが紹介されたりしてとても面白かったです。

中野君:国内大会と世界大会で利用されているLIDAR(ウォールフォロー用のセンサー)が違ったので、それへの対応が難しかったことですね。また、チームで1台のマシンを開発できたことはとても良かったと感じます。

── GLOBAL TECHの世界大会ではどんな人に会えましたか?

東君・中嶋君・中野君:自信満々な同級生から話が面白いインストラクターまで、本当にいろんな人がいました!

■生徒

  • 予想外のロジックでコースを完走した同級生
  • 自分で書いた自動車に関する論文が公開前の同級生
  • マシンの走行経路を表示させるプログラムを作成した同級生
  • 自分でオリジナルの文献を見つけてTPU(機械学習用のCPU)を使う同級生

■インストラクター

  • TPUに詳しいMIT学部生
  • 世界最高峰に大学にいるのにコミュ力が高いMIT学部生
  • プログラムのエラーを分かりやすく教えてくれるMIT学部生

── GLOBAL TECH全体を通じた感想

東君:まず、楽しかったです。チームでプログラミングできたことが特に良かった。あとハードウェアを通じてプログラミングに触れられたのが良かったです。「マシンを動かしたいから、プログラム利用する」という形式で学べたのが面白かった。中学の時は、CPUとLEDを繋いで光らせるみたいなことをやったんですが光るだけで、それ以降ハードウェアにあまり興味がわかなくなっていました。ただGLOBAL TECHで、ハードウェア通じプログラミングの使い方を再度学べてとても良かったです。

中嶋君:勉強になって楽しかったです。今までやって来たプログラミングはソフトウェアが中心で、実物が動かないことに虚しさを感じていました。もしハードウェアのプログラムだったとしても、数値を入れるだけでいわゆるプログラミングをしている気持ちにはなれませんでした。また、MITに行けたというのはとても良い機会だったなと思います。自分の周りで自動運転について本気で学びたい!という人はかなり少なかったんですが、世界大会に行けば自動運転コースだけで約40名自分と同じモチベーションで自動運転車を開発したいと思う人がいた。このコミュニティに入って、SNSなどでつながれたことはかなり大きいと思います。

中野君:私も、まず楽しかった。今までプログラミングやったことがあったんですが、中嶋君同様ソフトウェアで完結するものが多く、GLOBAL TECHでのハードウェアを使った経験は貴重でした。また、世界大会ではプログラミング以外の面で、海外の高校生に会えたことや講義を通じて世界の企業がこんなことをしているんだということが知れて良かったです。

── 開成中学校・高等学校の先生の声

GLOBAL TECHを初めて日本で開催した2019年から、開成中学校・高等学校 理科・地学教諭 有山先生に、募集活動のご協力いただいております。

2024年には、会場のご提供・インタビューへのご回答も実施いただきました。インタビューは以下のページをご覧ください。

── スポンサー様のご紹介(2024年6月時点)

項目 内容
会社名 株式会社商船三井(Mitsui O.S.K. Lines, Ltd.)
会社説明

鉄鋼原料、石炭、木材チップなどを運ぶ各種専用船、原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、自動車船、さまざまな製品を運ぶコンテナ船など、多彩な分野で時代の要請にこたえる総合輸送グループ

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